「製造業もSEO対策をしたほうがいいと聞くが、何から手を付ければいいのかわからない」という声をよく聞きます。
取引の多くが紹介や展示会で決まる製造業では、Webからの新規の引き合いをどう作るかが長年の課題になっています。
結論から言うと、製造業のSEO対策は「技術・材料・加工・用途」の言葉で探している人に、製品ページと用途ページで答える設計がすべての土台になります。
この記事では、製造業のサイト制作を手がける立場から、キーワードの選び方、ページの構造、長い検討に合わせたコンテンツ、問い合わせまでの導線を5つのステップで解説します。
目次
\検索で見つかるサイトに/
【無料】製造業サイトを相談する製造業のSEO対策とは?社名を知らない設計者・購買担当に見つけてもらうこと
製造業のSEO対策は、社名ではなく「何ができるか」で検索している人に自社のページを見つけてもらうための施策です。
紹介や展示会で出会う相手は、すでに自社の名前を知っています。
一方で、新しい加工先や部品の調達先を探している設計者・購買担当・生産技術の担当者は、社名を知りません。彼らが検索窓に入れるのは「SUS304 精密切削」「クリーンルーム フィルター 交換」のような、技術や用途の言葉です。
この言葉で検索したときに自社のページが出てこなければ、その引き合いは最初から他社に流れます。
製造業にSEOが必要なのは、紹介や展示会だけでは「まだ出会っていない取引先」に届かないからです。
紹介は既存の取引先の人脈に、展示会は会期と来場者に限られます。どちらも、相手がこちらを知る機会を自社で増やすことはできません。
一方で検索は、発注先を探している人が自分から言葉を入れて調べる場です。設計者や購買担当が新しい加工先を探すとき、最初に検索で候補を洗い出すことは珍しくありません。
検索で見つかるページは、夜間や休日でも候補先として読まれ続けます。製品や技術を説明するページが充実していれば、求職者が仕事内容を知る材料にもなり、採用にも役立ちます。
なお、広告や展示会との連携を含めた製造業のWebマーケティング全体の進め方は、製造業のWebマーケティング施策5選にまとめています。この記事ではその中の「SEO」に絞って、具体的な進め方を掘り下げます。
製造業のSEO対策は5つのステップで進める
製造業のSEO対策は、キーワード設計からページ構造、コンテンツ、導線、計測までを順番に積み上げます。
いきなりブログ記事を量産しても、受け皿となる製品ページが弱いままでは問い合わせにつながりません。
- ステップ1:キーワードを「技術・材料・加工・用途」の4軸で洗い出す
- ステップ2:製品ページと用途ページの2本立てでサイトの構造を作る
- ステップ3:長い検討に合わせて、記事を3段階で用意する
- ステップ4:問い合わせまでの導線を設計する
- ステップ5:技術的な土台と計測を整える
以下、順に解説します。
ステップ1:キーワードは「技術・材料・加工・用途」の4軸で洗い出す
製造業のキーワード選びは、自社の技術を「技術・材料・加工・用途」の4つに分解し、それを掛け合わせるところから始めます。
「精密加工」「金属加工」のような大きな言葉は、競合が多いうえに検索する人の目的もばらばらです。掛け合わせて具体的にするほど、発注に近い人が集まります。
4軸の掛け合わせで、発注に近いキーワードを作る
4軸の中身と、検索する人の状態は次のように整理できます。
| 軸 | キーワードの例 | 検索する人 |
|---|---|---|
| 技術 | 精密切削、真空成形、レーザー溶接 | 工法を比べている設計・生産技術の担当者 |
| 材料 | SUS304、チタン、PEEK、アルミダイカスト | 材料に対応できる加工先を探している人 |
| 加工 | 微細穴加工、鏡面研磨、試作1個から | 具体的な加工の依頼先を探している人 |
| 用途 | 半導体装置 部品、医療機器 部品、食品工場 フィルター | 自社の業界に実績のある会社を探している人 |
実際に狙うのは「材料×加工」「用途×製品」のような組み合わせです。
たとえば「チタン 微細穴加工」「医薬品工場 フィルター 交換」で検索する人は、ほぼ依頼先を探している段階にいます。
社内の呼び方と、検索される言葉はずれる
キーワードの洗い出しで一番多い失敗は、社内の呼び方をそのまま使ってしまうことです。
社内では型番や略称で呼んでいる製品も、外の人は「ステンレス」「ねじ」のような一般的な言葉で探しています。逆に、技術者が使う専門用語のほうが検索されていることもあります。
検索される言葉を拾うには、次の3つを見るのが早道です。
- 過去の問い合わせメールや見積依頼に書かれていた言葉
- 営業担当が商談でよく聞かれる質問
- Googleの検索窓に入れたときに出てくるキーワード候補(サジェスト)
この3つには、顧客が実際に使っている言葉がそのまま残っています。
検索数が少ないキーワードほど商談に近い
製造業のキーワードは、ツールで調べると月10回以下や「データなし」になるものが多くあります。それでも捨てる理由にはなりません。
BtoBの取引は1件の単価が大きく、継続取引にもつながります。月に数回しか検索されない言葉でも、そこから年に1件の引き合いが来れば十分に元が取れます。
検索数の大きさより、「この言葉で検索する人は自社に発注しうるか」で優先順位を付けます。
ステップ2:製品ページと用途ページの2本立てで構造を作る
製造業のSEOでは、ブログ記事よりも先に、製品ページと用途ページという「受け皿」を作り込みます。
問い合わせが発生するのは製品や用途のページであり、記事はそこへ人を連れてくる役割だからです。
製品ページ:スペックを画像やPDFでなく文字で載せる
製品ページは、1製品または1製品群につき1ページを用意し、スペックをテキストで書きます。
製造業のサイトでよくあるのが、製品情報をPDFカタログやスペック表の画像だけで載せているケースです。画像の中の文字はページの本文として読まれにくく、検索結果に出る力が弱くなります。
製品ページに書いておきたい項目は次のとおりです。
- 対応できる材質・サイズ・精度(公差)
- 対応ロット(試作1個から、量産○個から など)
- 主な用途と、採用されている業界
- 標準納期の目安
- 加工事例や納入事例の写真と説明
PDFカタログは「詳しくはこちら」としてページの補足に置き、本文の代わりにはしません。
用途ページ:業界・目的から探せる入口を作る
用途ページは、「半導体」「医薬品」「食品」のような業界や、「異物を取り除きたい」のような目的から製品を探せる入口です。
製品名を知らない人でも、自分の業界や目的なら言葉にできます。用途ページは、その人を正しい製品ページへ案内する役割を持ちます。
GAMADASが制作したケンブリッジフィルターコーポレーション株式会社様のコーポレートサイトでは、製品名からの検索に加えて「利用分野から探す」「目的から探す」の2つの導線を新しく作りました。
同社は半導体・医薬品・食品・医療など幅広い業界に精密フィルタを提供しており、業界ごとにフィルタへの要求が違います。製品数も多く、以前のサイトでは目的の製品にたどり着くまでに迷いやすい構造でした。
そこで、専門知識がない人でも業界や用途から製品を探せるよう、情報設計から見直しました。
こうした「業界・目的から探す」構造は、そのまま「用途×製品」のキーワードの受け皿になります。SEOのためだけに作るページではなく、訪問者が探しやすいことと検索に強いことが一致する部分です。
1つのテーマに1つのページを割り当てる
ページを増やすときは、1つのキーワード(テーマ)に1つのページを割り当てます。
似た内容のページが複数あると、どちらを検索結果に出すかGoogleが迷い、両方とも順位が上がりにくくなります。
サイトマップを作る段階で「このページはどのキーワードを担当するか」を一覧にしておくと、重複を防げます。
製品ページ・用途ページを含めたサイト全体の設計は、製造業のホームページ制作のページで進め方を紹介しています。
\製品・用途ページから設計/
【無料】製造業サイトを相談するステップ3:長い検討に合わせて、記事を3段階で用意する
製造業の取引は、情報収集から発注まで数か月かかることも珍しくありません。記事は「情報収集」「比較」「発注直前」の3段階に分けて用意します。
どの段階の人にも自社のページが届いていれば、検討が進んだときに思い出してもらえます。
| 段階 | 検索する人の状態 | 記事のテーマ例 |
|---|---|---|
| 情報収集 | 工法や材料の基本を調べている | 「○○加工とは」「材質の選び方」 |
| 比較 | 複数の工法・依頼先を比べている | 「切削と鋳造の違い」「試作と量産でのコストの違い」 |
| 発注直前 | 依頼先を絞り込んでいる | 加工事例、対応できる範囲、見積に必要な情報、よくある質問 |
一般的な技術解説だけでは、AIの回答に置き換えられる
「○○加工とは」のような一般的な解説記事は、検索結果の上部に出るAIの回答(AIによる概要)で答えが済んでしまうことが増えています。
そのため、技術解説の記事にも自社ならではの情報を入れます。
- 自社の設備で対応できる範囲と、対応できない範囲
- 過去に相談が多かった失敗例や、図面で気をつけるポイント
- 実際の加工事例(取引先の許可が取れる範囲で)
ここはAIが一般論から作れない情報なので、記事が読まれる理由になり、AIの回答に引用される材料にもなります。
発注直前の記事を先に作る
記事を作る順番は、発注直前の段階からがおすすめです。
「見積に必要な情報」「対応できる材質と精度」「よくある質問」は、検索数こそ小さいものの、読んだ人がそのまま問い合わせに進みやすいテーマです。
情報収集段階の記事は、問い合わせの受け皿が整ってから増やしていきます。
ステップ4:問い合わせまでの導線を設計する
製造業のSEOで集めた訪問者を問い合わせにつなげるには、「まだ相談の段階でも連絡していい」と伝わる導線が必要です。
検索から来た人は社名も担当者も知りません。連絡のハードルが高いと、比較だけして離脱してしまいます。
図面や仕様が固まっていなくても相談できると書く
問い合わせフォームの近くに、「図面がなくても相談できる」「試作1個から対応」のように、相談の条件を書いておきます。
設計段階の担当者は、仕様が固まる前に加工先へ相談したいことが多いものです。ここで「図面必須」と受け取られると、問い合わせの機会を失います。
フォームの項目も、最初は会社名・連絡先・相談内容程度に絞り、図面は添付できるようにしておく程度で十分です。
問い合わせ先を拠点・部門で分ける
拠点や事業部が複数ある会社は、問い合わせ先を選べるようにします。
ケンブリッジフィルターコーポレーション様は全国に7つの拠点がありますが、以前のサイトでは問い合わせ窓口が整理されていませんでした。リニューアルでは、拠点別に問い合わせ先を選べる仕組みを作り、地域ごとの引き合いに対応しやすい構成にしました。
問い合わせを受けた側がすぐに担当者へ回せるので、返答までの時間も短くなります。
製品ページから問い合わせまでを短くする
問い合わせボタンは、トップページやヘッダーだけでなく、製品ページ・用途ページの中にも置きます。
ケンブリッジフィルターサービス株式会社様のコーポレートサイトでは、空調フィルターの販売から交換・洗浄・測定・清掃まで幅広い業務と、100点を超える取り扱い製品を整理し、訪問者が迷わず必要な情報にたどり着ける構造を作りました。
業務内容と製品情報を探しやすくしたうえで、最終的に問い合わせへ進む導線を意識して設計しています。
すぐに問い合わせるほどではない人向けに、技術資料や製品カタログのダウンロードを用意しておくと、検討段階の接点も作れます。
ステップ5:技術的な土台と計測を整える
製造業のSEOでも、サイトの技術的な土台が整っていなければ、良いページを作っても評価されにくくなります。最低限、次の項目を確認します。
- 常時SSL(https)になっているか
- スマートフォンで製品情報やスペック表が読めるか
- ページの表示が遅くないか(大きすぎる画像を載せていないか)
- 各ページにキーワードを含んだタイトルと説明文(メタディスクリプション)が設定されているか
- Googleサーチコンソールに登録し、検索での表示回数や順位を確認できるか
計測で見るべきは、アクセス数よりも「検索から来た人の問い合わせ」です。
どのページを見た人が問い合わせたかを追えるようにしておくと、次に作るべきページが見えてきます。
社内で更新できる体制を作る
製品の追加や事例の更新が止まると、サイトの情報は徐々に古くなります。
ケンブリッジフィルターの2社の制作では、どちらも公開後にクライアント様ご自身でサイトを更新できる体制を作りました。製造業のSEOは長く続ける施策なので、更新のたびに制作会社へ依頼しなくて済む仕組みにしておくことが大切です。
製造業のSEO対策でよくある失敗
製造業のSEOでつまずく原因は、多くが「受け皿がないまま集客しようとすること」と「判断が早すぎること」にあります。よく見る失敗は次の4つです。
会社名や大きな言葉だけで上位を狙う
社名で検索されて上位に出るのは当然で、それだけでは新しい引き合いは増えません。
「金属加工」のような大きな言葉も、大手や比較サイトが上位を占めていて勝ちにくいのが実情です。具体的な掛け合わせのキーワードから始めます。
製品情報がPDFと画像だけになっている
スペックが画像やPDFの中にしかないと、検索で拾われる情報がほとんど残りません。製品ページの本文に文字で書きます。
ブログ記事だけを増やしている
記事を量産しても、読み終えた人が進む製品ページや問い合わせ導線が弱ければ、アクセスが増えるだけで問い合わせは増えません。
記事より先に、製品ページと用途ページを整えます。
1〜2か月で効果を判断してしまう
新しいページが検索結果で評価されるまでには、一般的に数か月かかります。
公開してすぐに順位が上がらなくても、ページの中身を見直しながら続けることが前提になります。
社内でやること・制作会社に任せること
製造業のSEOでは、技術や事例の中身は社内にしかなく、構造設計やキーワード調査は外部のほうが得意なことが多いものです。役割を分けると進めやすくなります。
| 担当 | 内容 |
|---|---|
| 社内 | 自社の技術・設備でできること、加工事例や納入事例の素材、よく受ける質問の洗い出し |
| 制作会社 | キーワードの調査と優先順位付け、製品ページ・用途ページの構造設計、ページ制作、計測の設定と改善 |
社内の技術者に「どんな相談が多いか」「他社に負けない加工は何か」を聞き出し、検索される言葉に置き換えてページにするのが、制作会社側の仕事になります。
GAMADASでは、製造業のサイト制作から、公開後のキーワード設計・ページ追加までを一緒に進めています。サイトの作り直しから考えたい場合は製造業のホームページ制作、今のサイトのまま検索からの問い合わせを増やしたい場合はSEO対策のサービスのページをご覧ください。
BtoBサイト全体で成果を出すための設計は、BtoBサイト制作で成果を出す5つのポイントでも解説しています。
まとめ
製造業のSEO対策は、社名を知らない設計者や購買担当に「技術・材料・加工・用途」の言葉で見つけてもらうための施策です。
- キーワードは4軸を掛け合わせ、検索数より「発注しうるか」で選ぶ
- 記事より先に、製品ページと用途ページという受け皿を作る
- 記事は情報収集・比較・発注直前の3段階で、発注直前から作る
- 図面がなくても相談できること、拠点ごとの窓口を導線に入れる
- 効果は数か月単位で見て、問い合わせにつながったページから次の手を決める
紹介や展示会に頼っている会社ほど、検索からの入口が1本増える効果は大きくなります。まずは自社の技術を4軸で書き出すところから始めてみてください。




